日本人の色彩や配色の感覚について、みなさんどう思われているでしょうか?

流行色はインターカラー(国際流行色委員会)から日本流行色協会を経て、決まります。
実際に流行する2年前には決定されます。
それは、実際に流行する時までに、例えばアパレルであれば、糸をまず作り、生地を作り、テキスタイル展や有名ブランドの来季コレクションを経て、市場に出していく必要があるからです。
インターカラーにはもちろん、日本も加盟しています。

そんな話を聞くと、どこか遠くで決められた色を私たちは着せられている…なんて思ってしまいますね。 私も色彩の勉強を始めてから、この事を知り、勉強熱が一瞬冷めてしまった事があります。
しかしながら、何が流行るかわからない状態だと、繊維業界などの準備が間に合わなかったり、不具合が出てくるのでしょうね。

流行色は、色彩の動向やトレンドを調査し、入念に決められているようです。
流行色は、頭の隅に置きながら、自分の好きなスタイルに取り入れていくというスタンスで良いと思います。


歴史的背景
さて、もう一度お聞きします。日本人の色彩や配色の感覚について、みなさんどう思われているでしょうか?

海外より遅れている、そう思われる方もおられるのでしょうか?

日本語の一番古い基本色彩語は「白・黒・赤・青」の4つで、7〜8世紀ごろとされ、確かにヨーロッパと比べるとかなり遅いスタートです。

紀元前から古代ギリシャ等では色彩の研究が行われており、古代ヨーロッパでは多数の色彩表現材料の発見、豊かな色彩語彙と多彩な表現技術が発展していました。
しかし、「混色して新しい色を作り出すことは神に対する冒涜行為」とされ、 混色は長い間禁止されてしまいました。

日本の色文化はその間に急激に進むことになります。
冠位十二階(603年制定)はそれぞれ冠の色でその地位を区別していたそうです。
奈良時代の【養老令】にある【衣服令】には「位色(いしき)の色…位階による色」というものがあり、
当色(とうじき)(階級→色) 徳→ 仁→ 礼→ 信→ 義→ 智→

となり、自分の身分より高位の色の使用が制限されました。…禁色(きんじき)

平安時代には、禁色制度が緩やかになり、豊富で優雅な色名が多く生まれます。
同時代のヨーロッパより、色彩感覚溢れる時代だったようです。

「十二単」に見られる【襲(かさね)の色目】は世界最古の配色といわれ、四季折々に合わせた配色が何通りも存在しています。驚くほどの色彩感覚です。
色名も自然の四季の花や草木から取られ、季節感が感じられます。

そして日本では植物染料が多く用いられ重ね染めや交織りなどの混色が行われていたため、独特の中間色文化が発展しました。そして、濃淡で表現する文化の発展により、日本の美意識のひとつ「侘び寂び」の美学も生まれました。

【奢侈禁止令】により何度か華美な染料は禁止されましたが、 江戸時代の法令は特に厳しく、農民のみならず、町人・武士にまで同様の規制が行われました。
人々は、その中で茶や鼠などの中間色の色合いが「粋」とし、禁止されなかった藍染めで、濃淡でお洒落を楽しんでいました。


日本の色彩
日本の色についての歴史、とても深いです。
色に制限が無いときは華やかに、制限があっても、その中で色を生み出す。
昔の日本人がどれだけ色彩を大事にしていたのかが分かります。

もうひとつ、色には風土色というものがあります。
例えば、カスピ海に面した国に建てられ、青い空に映えている白い建物を、日本の盆地に建てた場合…それは合っているのでしょうか。
それぞれの国や地域の環境によって風土色は違ってきます。
日本は水墨画にあるような、グレイッシュカラーが風土色といわれています。
遠景で山を見た時に、その日の天気などにも左右されますが、少しくすんだ色彩が感じにくい色に見えはしないでしょうか?
クリアでは無いのだけれど、やさしい色合いを感じたりはしないでしょうか。

日本人はそんな風土色に包まれて生活してきました。
だから、日本の風土色に合う、色彩が好まれるのだと思います。



自然との調和
古来、日本では植物染料が多く用いられていたことは先ほど記述しました。
『延喜式』の縫殿寮(ぬいどのつかさ)・雑染用度条を見てみると、

黄櫨(こうろ)・・・天皇の袴の色(禁色)・・・櫨(はじ)と 蘇枋(すおう)の重ね染め
黄丹(おうに)・・・皇太子の袍の色(禁色)・・・紅花(ベにばな)と 支子(くちなし)
深紫(こきむらさき)・・・紫草(むらさきそう)
などなど、植物を染料に、灰や酢などを媒染料として用いています。

自然から色を貰っている。 本当にそう感じますね。

当店でお取り扱いしている商品にも植物染料が良く使われています。
柿渋染めも、そのうちのひとつです。

(以下Wikipediaより抜粋)
柿渋:柿渋(かきしぶ)は、未熟なカキの果実を粉砕、圧搾して得られた汁液を発酵させたもの。柿タンニンやシブオールを多量に含み、また発酵によって生じた酢酸や酪酸の臭気を有する赤褐色半透明の液である。布や紙の防腐、民間薬などに用いられる。
その独特の臭気が敬遠されていたが、最近では臭気を取り除いた無臭タイプの物も誕生している。
近年、シックハウス症状を起こさない塗料として再評価されつつある。


自然原料がやはり、体に良い。自然との調和の大切さについて、もう一度見直す時期に来たのかもしれませんね。


色の名前
日本の伝統色には、様々な美しい色名があります。
日本人ならば、その色名を聞けば分かるものから、全く見当のつかないものまで。

例えば「桜色」。・・・(※1)日本人ならすぐにイメージ出来ますね。
では「納戸色」はどうでしょうか?・・・・
納戸の薄暗いイメージから、「灰みの暗い青色」に付けられました。

「利休色」・・・
「利休色」は、茶人・千利休好みの茶みがかった緑の事を言います。
他に、利休鼠・利休茶・利休白茶・信楽利休などなどもあります。

「若紫」・・・
などは、源氏物語を思い出しますね。
鮮やかな色には「若」が付くようです。

日本人の色の名づけ方、まるで文学の様に私は感じます。


カラーコードは和色大辞典参照。
(※1 実際には発色のために撫子色のカラーコードを使用しています。)

【日本独特の色彩】

さて、ここでもう一度お聞きします。
日本人の色彩や配色の感覚について、みなさんどう思われているでしょうか?
少しイメージが変わったのでは無いでしょうか。
日本人は曖昧な色を繊細に見分ける力も高いそうです。
質感や細工、技術にこだわる日本人の気質、私はずっと残っていってほしいと考えています。



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